非上場会社の株価の算定は、多くの公認会計士が行っている業務の1つですし、うちのお客さんでもM&Aをやろうとしていた会社もあったので、興味があり詳しく調べてみました。
まず、2012年にM&Aにより吸収合併される会社の株主との間で株価の算定金額を巡り対立が起こり、訴訟へと発展したようです。
会社は安く株主から株を買い取りたいですし、株主は高く買い取ってもらいたいですから、非上場会社の株価の算定はそもそも対立が起こりやすく、客観的かつ合理性のある算定方法でなければなりません。
また、算定方法自体が法律等で定められている訳ではないので、実務上は様々な手法の中で合理性の高い手法を採用あるいはその複数の手法の平均によるなど、状況に応じて色々な手法が採られます。
専門的な作業になるので、専門家である公認会計士が行うことが多い業務の1つという訳です。
今回は、その手法のうち「収益還元法」という将来獲得すると予想される利益を、資本還元率で割り、株価を算定する方法が採られました。
考え方自体は単純なのですが、採用する予想利益と資本還元率の算定方法がこれまた決まりがある訳ではないので、様々な方法が採られますが、今回争点となったのは、この方法により算定された株価にさらに流動性がないことを理由に25%減価した金額で評価した点が妥当かという所でした。
正直微妙な感じですが、会社から依頼を受ける鑑定人は会社の意向に沿うようなバイアスが働きますから、もっともらしい理由で減価をすることが多いのかもしれません。
(個人的には会計士だったらやらない気がするので、この鑑定人はその辺のコンサルみたいな人のような気がしますが)
ただ、そのもっともらしい理由で1審、2審は減価が認められていました

そして、最高裁では「収益還元法は将来期待される純利益などを基に現在の株価を算定する手法で、市場での取引価格との比較という要素はこの手法の中に含まれていない」として流動性がないことを理由とする減価は認められませんでした。
この判決により、これからは非上場会社の株価の算定においてよく分からない減価はされないのでしょうが、コンサルの人達はまた株価を下げる他の手を考えるのでしょうね(笑)
なにしろ手法に決まりがない以上、どんな手法を使ったとしても小難しいことを言って相手を納得させてしまえば済んでしまう話ですからね〜

追記:すみません、今回の鑑定人は裁判所が選任した会計士だったようです

ダブルで間違ったことを言ってしまい申し訳ありません。

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